KCGT入賞者インタビュー企画、第三弾は【サンダー・ドラゴン】で7位に入賞されたshinyaさんです。
200戦という比較的少ない試合数ながら金アイコンを取得されただけでなく、家庭がありながら素晴らしい結果を残していたことからお声掛けさせていただきました。
私個人としても家庭持ちですので、とても興味深いお話を聞くことができました。
shinya
国内チーム成金、海外チームROOKIESに所属しています。 妻と2歳の娘がいます。可愛いです♡
あと、たまにチームメイトが僕のことを「ROOKIESの最高傑作」と揶揄しているのですが、あれはチーム内で流行っている「アオアシ」という漫画のネタなので間に受けないようにお願いします。
twitter:https://twitter.com/shinya_demon
構築と結果
使用デッキ
ディスティニー・ドロー
shinya
結果
最終DP:75071
順位:7位
試合数:136勝 / 200試合
勝率:68%
【サンダー・ドラゴン】を使用した理由
最近のデッキの中で一番使っていて楽しいと感じたからです。
shinya
【サンダー・ドラゴン】の構築
環境考察から手札誘発を優先した
様々な構築を検証し、28枚がベストバランスだと判断したので今回のデッキを使用しました。
以前は《孤高除獣》や《封印の黄金櫃》からスタートできる、いわゆる強初動の確率を重視した手札誘発3枚の24枚構築を使用していました。
しかし、環境が変わり、先攻時「初動は確保されているが防御札がない手札」では厳しい環境になっていました。
逆に「《雷電龍-サンダー・ドラゴン》+《雷鳥龍-サンダー・ドラゴン》等の弱初動+手札誘発」の価値が上がったと考え、手札誘発を増やすことにより先攻を取ったときの対応力を高める必要があると思い、今回の構築となりました。
30枚でない理由
今回の構築に《百雷のサンダー・ドラゴン》と《太陽電池メン》を1枚ずつ足した30枚構築を試したところ、安定度は増したものの《混源龍レヴィオニア》へのアクセス確率が低下する、という結果となりました。
《混源龍レヴィオニア》はリーサルになり得るカードです。
《混源龍レヴィオニア》へのアクセス率と安定感を天秤にかけつつベストなバランスを探っていった結果28枚に落ち着きました。
《サンダー・ドラゴン》採用と事故に対する考え方
《サンダー・ドラゴン》
光 ★5 雷族 1600 / 1500
①:このカードを手札から捨てて発動できる。デッキから「サンダー・ドラゴン」を2体まで手札に加える。
くじかえる
shinya
むしろ《サンダー・ドラゴン》の採用が手札事故の軽減に役立つ、という側面もあります。
例えば後攻時の初手4枚が《混源龍レヴィオニア》《雷電龍-サンダー・ドラゴン》、手札誘発2枚だった場合、《サンダー・ドラゴン》を採用していると初動を取れるカードが《封印の黄金櫃》《雷鳥龍-サンダー・ドラゴン》《孤高除獣》《百雷のサンダー・ドラゴン》に加えて3枚も増えることになります。これは他の札には代用できない役割です。
また、先攻でも《雷鳥龍-サンダー・ドラゴン》によるマリガンとの相性が良い等、様々な活用が可能です。
よって、事故につながるデメリットよりもメリットの方が大きいと判断しています。
事故は素直に受け入れる
手札事故に関しては起こって当然の現象なので素直に受け入れるようにしています。
上振れを期待するなら下振れも受け入れる、というのが基本的な考え方です。
実際、元々不利な相手に手札事故を起こしたときは「むしろお得だな」、と思っているくらいです。
その分有利な相手に事故ると悲しいですが。
【サンダー・ドラゴン】の採用札
くじかえる
《邪帝ガイウス》
《邪帝ガイウス》
闇 ★6 悪魔族 2400 / 1000
①:このカードがアドバンス召喚に成功した場合、フィールドのカード1枚を対象として発動する。
そのカードを除外し、除外したカードが闇属性モンスターカードだった場合、相手に1000ダメージを与える。
デッキ枚数が膨らむことにより《混源龍レヴィオニア》へのアクセス率が落ちてしまうことが課題と感じていました。
ならば5枚目のレヴィオニアとなるカードを入れたら良いのでは、とチームメイトのむらっちから提案されたのがこのカードを採用する最初のきっかけでした。
また、たまにランクマッチで当たる《チューニングガム》と《クリエイト・リゾネーター》から《スカーレット・ノヴァ・ドラゴン》を出す型の【リゾネーター】も悩みのタネでした。
この構築は《オベリスクの巨神兵》採用型の対抗馬として流行るのでは??という懸念があったので、回答となる札を探していたこともこのカードを採用した理由の一つです。
実際、「サンダー・ドラゴン」モンスターをリリースして《邪帝ガイウス》をアドバンス召喚すると「サンダー・ドラゴン」モンスターの効果がチェーンブロックを作るため、《チューニングガム》を無視して《スカーレット・ノヴァ・ドラゴン》を一撃で葬ることができます。これを実際にやったときは気持ちよかったですね。
《スカーレット・ノヴァ・ドラゴン》以外にも《王家の眠る谷-ネクロバレー》を処理したり、何故かガイウスをバウンスしてくれる【ハーピィ】の《ハーピィ・レディ・SC》を2体とも除外したり、多彩な働きをしてくれたMVPの一枚です。
枚数を増やすことも考えましたが、あくまでも展開ありきの札であり、ディスティニー・ドローからアクセスできることからピン差しにおさえています。
《百雷のサンダー・ドラゴン》
《百雷のサンダー・ドラゴン》
通常罠
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
①:自分の墓地の雷族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。
その後、その同名モンスターを自分の墓地から可能な限り特殊召喚できる。
この効果で特殊召喚したモンスターは、フィールドから離れた場合に除外される。
この効果で特殊召喚したモンスターがモンスターゾーンに存在する限り、自分は雷族モンスターしか特殊召喚できない。
《百雷のサンダー・ドラゴン》から特殊召喚したモンスターは場を離れると強制的に除外されるため、《雷獣龍-サンダー・ドラゴン》のリクルート効果を強く使うことができます。
【サンダー・ドラゴン】の防御はメインギミックでは《雷獣龍-サンダー・ドラゴン》に頼る部分が大きいので、ここを崩されると辛いです。
《百雷のサンダー・ドラゴン》+墓地《雷獣龍-サンダー・ドラゴン》の構えを作ることで相手のバウンスに対応したり、バトルフェイズに《雷獣龍-サンダー・ドラゴン》を特殊召喚して妨害を避けつつ、相手の出方を待つことができます。
shinya
僕は以前まで《サンダー・ドラゴン》2枚サーチ、《孤高除獣》で《雷電龍-サンダー・ドラゴン》+《雷獣龍-サンダー・ドラゴン》除外で《雷鳥龍-サンダー・ドラゴン》サーチから、《孤高除獣》+《雷獣龍-サンダー・ドラゴン》+《百雷のサンダー・ドラゴン》セットという最終盤面になるように動いていました。
でも今は全く違う動きをしています。 是非考えてみてください。
くじかえる
【サンダー・ドラゴン】の相性とその理由
【オノマト】:有利
先攻モンスター+手札誘発の構えによりほぼ確定で耐えることができるうえ、返しで盤面を返すことも容易です。
手札誘発がない場合は先述の《百雷のサンダー・ドラゴン》+墓地《雷獣龍-サンダー・ドラゴン》の盤面を作ります。
実際にKCにおける勝率は8割を越えていたと思います。
【リゾネーター】:有利
【オノマト】同様モンスター+手札誘発で耐えることができますが、《天岩戸》に警戒する必要がありました。
そのため《天岩戸》を出される前に《機動要犀 トリケライナー》を出す、《百雷のサンダー・ドラゴン》込みで3枚目の壁を立てる、といったことを意識してプレイしてターンが返ってくる期待値を高めていました。
返しのターンではライフを取ることよりも盤面制圧を主な目的として動きます。
《フォトン・ストリーク・バウンサー》を作っておくと相手の後続に圧をかけることができるのでおすすめです。
【炎王】:微有利
中長期的なゲームにもつれ込んだ際は《雷刧龍-サンダー・ドラゴン》と《百雷のサンダー・ドラゴン》で圧をかけ続け、勝ち筋を作っていました。
《雷獣龍-サンダー・ドラゴン》の効果は《百雷のサンダー・ドラゴン》の回収に使い、《雷獣龍-サンダー・ドラゴン》は《雷刧龍-サンダー・ドラゴン》の効果で除外・回収してループを狙います。
相手のリソース切れを視野に入れつつ、タイミングを見て《No.68 魔天牢サンダルフォン》を絡めていきます。
ただし、今回のKCではほとんどマッチングしませんでした。
【ハーピィ】:微有利
《雷獣龍-サンダー・ドラゴン》単騎では無力なため、《百雷のサンダー・ドラゴン》+墓地《雷獣龍-サンダー・ドラゴン》の盤面を作れるよう意識します。
先攻で出された《ハーピィ・レディ・SC》を処理できなかった場合、返しに《インヴェルズ・ローチ》を出されてしまうのが一般的ですが、特に焦る必要はありません。
《インヴェルズ・ローチ》を出してくれたことを逆にチャンスと捉え、《百雷のサンダー・ドラゴン》を構えつつ2体目の《雷獣龍-サンダー・ドラゴン》等で攻めるようにすれば相手の魔法・罠をどんどん剥がすことができます。
相手の魔法・罠のリソースが尽きたところを狙って《終焉の守護者アドレウス》で《インヴェルズ・ローチ》を処理し、《混源龍レヴィオニア》を絡めつつ一気にキルを取りにいくプランでゲームメイクします。
shinya
【妖仙獣】:微有利
【妖仙獣】対面は他のデッキと違った立ち回り方が要求された印象です。
具体的には《雷鳥龍-サンダー・ドラゴン》によるマリガンを多用して早めに《クリボール》を握ること、《雷鳥龍-サンダー・ドラゴン》セットにより相手のバウンスに対応する、といったことが挙げられます。
しっかりと対応できれば勝つのはそう難しくない対面でした。
shinya
あと、いつまでたってもボールが引けないときに次男のダイレクト×5で負けたのは忘れられません。今回のKCで一番イライラしたデュエルだったかもしれません。
【領域海皇】:五分
初手で《王家の眠る谷-ネクロバレー》を貼られるとしんどいゲームになりがちでした。
逆に《王家の眠る谷-ネクロバレー》を貼られない限りほとんど勝てる相手です。
プレイングというより札次第という印象だったので五分としました。
【サイバー・ドラゴン】:五分
微有利と言いたいところですが、この対面特有の負け筋も存在しており、上手い相手だと誘発の貫通も心得ているのが厄介でした。
相手の《フュージョン・ゲート》やこちらの《クリボール》の有無がかなり勝敗に絡む印象なので、【領域海皇】同様札次第ということで五分と判断しています。
【青眼】:五分
相手の展開次第ですが、早急に《青眼の精霊龍》を《蒼眼の銀龍》に変身させ、耐えてから期をみてディスティニー・ドローで《混源龍レヴィオニア》をサーチして一気に勝つ、というプランを達成できるかどうかがカギでした。
【青眼】は《ドラゴン・目覚めの旋律》のリミット指定によりパワーが低下したため微有利と考えていますが、【サンダー・ドラゴン】もレベルコピーがなくなりイングナル先輩を出せなくなった分やや勝ちにくくなったかな、という印象です。
【トラミッド】:不利
勝つためには相当上振れが必要です。
具体的に言うなら先攻3ターン目、後攻2ターン目の《混源龍レヴィオニア》が必須と言えるレベルです。
デッキが厚くなり《混源龍レヴィオニア》へのアクセス率が落ちた分、本当に勝てない対面になってしまいました。
奇跡的に《混源龍レヴィオニア》が打てたときは相手のフィールドとバックを剥がしつつ、《No.25 重装光学撮影機フォーカス・フォース》の効果を《トラミッド・スフィンクス》に当てて盤面をとり返すことができます。
shinya
家庭とKCの両立
KCのスケジュール
普段は土日休み、月曜仕事なのですが、今回は金・土が仕事で日・月が休みという普段とは異なるスケジュールの中での闘いだったため、どういったスケジュールでDPを盛っていくか、プランを組み立てるのが難しかったです。
また、そもそも家庭があり、プレイ時間自体がなかなか取れないので、金曜の夜、土曜の早朝、土曜の夜、日曜の早朝といったタイムスケジュールで試合をこなしていきました。
shinya
KCは集中して挑んだ
数をかせぐやり方は自分には合っていないと直近二回のKCで痛感していたので、とにかく集中できる環境づくりに努めました。
そのため、時間がないからといってちょっとした隙間時間やトイレ、風呂などでデュエルすることは一切やめ、やる時とやらない時のオンオフをかなりきっちりと行いました。
その分、「手札事故以外は全てのデュエルに絶対勝つ」くらいの集中力で臨むことができ、プレイングミス及びタイムアウトで勝ちを逃した試合は2試合だけだったと記憶しています。
shinya
勝ち試合を負け試合にしてしまう、この一つで±2000DP分の損失につながると考えたら恐ろしいです。
五回プレミで落としたら10000DP分損しています。勝てるわけないです。。。
子供の前ではデュエルをしない
くじかえる
shinya
子どもが寝た夜9時以降と、子どもが起きる前の早朝に走り、それ以外は家族と過ごすようにしています。
この走り方なら、我が家では基本的に文句は言われません。
また、分担している家事・育児、僕の場合であれば食事・洗濯はいつも通り行います。
KCだからと言って特別な負担を家族に強いることのないように努めています。
家庭と両立するために使った裏ワザ
実は、、、今回は一年に一度のKCGTということもあり、裏技を使いました。
それは、僕の誕生日にプレゼントしてもらった「一日自由券」を使うことです(笑)
「一日自由券」を使うと日中限定ですが、自由に過ごすことができるのです。
普段は都市部にのんびり出かけるのに使っており、二日連続での使用は禁止されています。
今回は日曜日にこれを使い、妻と娘にはすぐ近くの実家に朝10時〜夕方4時くらいまで遊びに行ってもらいました。
ただ、実際にはこの時間の中で買い出しにいったり夕飯の支度をしたりと、全てをKCGTのために使えたわけではありませんが…。
shinya
そんな環境の中でもやり方次第で上位争いができることを示すことができ、同じような環境にいる方々のモチベーションになれたらと思う部分もあります。
これからも自分に合ったペースでリンクスを楽しんでいきたいです。
今回のKCの勝因
自分のデッキを理解することが大切
今回の勝因を考えると、自分の中で「各カード・スキルの意味や役割が明確になっている状態でKCGTに臨めた」ことが大きかったと思っています。
一般に「正解」と言われる構築や「必須」とされるようなカードが存在するかもしれませんが、私はそれを大きな問題ではないと捉えています。
【サンダー・ドラゴン】で言うなら悪魔送り型も
闇の誘惑型も間違いなく強いですし、《光の援軍》型のパワーも否定できません。
手札誘発であれば《クリボール》より採用しなかった《BK ベイル》の方が強い場面もあると思います。
だからこそ、大事なのは「自分のデッキに対する理解をどこまで深められているか」だと思っています。
shinya
具体的なイメージを持つことが「強さ」につながる
一枚一枚のカードが「どの相手と」「どのような盤面で」活きるのか、もしくは死に札になるのか。
それらをどれだけ具体的なイメージとして持っているかどうかで、その人の強さが決まると思うのです。
もちろん、そのイメージが曖昧だったり間違っていたりすれば「理解が浅い」ということになり、札や構築の変更を求められることになります。
さいごに
shinya
(周りから全否定で悲しいです)