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【KC入賞者インタビュー】綿密に練られたデッキ構築!ふぃる【遊戯王デュエルリンクス】

KCカップ 2021 Sep. 入賞者インタビュー企画、第二弾は【フライトTG】で13位に輝かれたふぃるさんです。
完全にメタ外のテーマである【フライトTG】を駆使して銀、という点が面白いだけでなく、同氏はいわゆる「復帰勢」であることにも強く興味を惹かれ、インタビューを依頼しました。

ふぃる

ふぃると申します。チーム双葉商事に所属しています。
【堕天使】【メガリス】【TG】等の先攻で妨害を構えられ、かつ手数の多いデッキが好きです。

twitter:https://twitter.com/Firu_links

構築と結果

使用デッキ

シンクロフライトコントロール

結果

最終DP:67330
順位:13
試合数:264勝 / 452試合
勝率:58%

【フライトTG】を使用した理由と特徴

ふぃる

このデッキは相手ターンに《ブラック・ローズ・ドラゴン》もしくは《水晶機巧-グリオンガンド》で妨害をしながら、返しに手数の多さを活かして一気にライフを削る爽快なテーマです。
スキルによって手札交換を行えるため、事故が少なく盤面に合わせた展開が可能、という強みがあります

事故率の低さはKCにおいて重要なポイントだと考えています。
モンスターを主体として戦うテーマのため、全般的に採用率の高い《サイクロン》の影響をあまり受けないことも現環境に適していると判断し、使用しました。

一方、手札誘発で耐えて来るテーマには相性が悪く、特に【サンダー・ドラゴン】や【月光】、【妖仙獣】などは苦手なテーマです。

【TG】の相性

【ハーピィ・レディ】

薄型に対しては有利です。
基本的には相手が《月の書》もしくは《禁じられた聖杯》を持っていて、かつ《ハーピィ・チャネラー》にアクセスできて初めて試合になる、という感覚です。

こちらの先攻時、展開ができない手札であったとしてもシンクロフライトコントロールで《TG ワーウルフ》を持ってきて伏せておくだけでワンキルされにくいのも大きいです。

ふぃる

相手の《ハーピィ・チャネラー》展開から《万華鏡-華麗なる分身》で《ハーピィ・レディSC》の横にモンスターが並ぶ際、普通のデッキであれば伏せたモンスターをバウンスされそのままワンキルされてしまいます。
しかし、《TG ワーウルフ》であればバウンスされても《万華鏡-華麗なる分身》で特殊召喚された下級ハーピィに反応して手札から《TG ワーウルフ》を出せるのでワンキルされません。

一方、厚型のハーピィに関しては不利~五分だと思います。
相手が事故気味なハンドであっても、相手の罠が超えられず徐々にアド差を広げられてしまい負けてしまうことが多かったからです。

【D-HERO】:五分

正直なところ、相性がよくわかっていない対面です。
相手の採用札に依存します。

《ライトニング・ボルテックス》を打たれるとほぼほぼ負けです。
《水晶機巧-グリオンガンド》を出せれば【D-HERO】が処理できず勝つことが多かったです。

【ガイア】:不利~五分

今回のKCにおいて実際の相性」と「体感の勝率」の間に大きな差があったテーマだと思っています。

相手の【TG】の理解度に依存しており、序盤から中盤ではかなり勝ち越していた印象でしたが、終盤はおそらく5分~負け越しだったと感じています。

【幻奏】:微有利

こちらも相手の構築にかなり左右されます。
上位帯にいたバック干渉多めの構築に対しては確実に有利でしたが、バック干渉札少なめで《月の書》や《禁じられた聖杯》といったモンスターを妨害するカードを多く採用している構築では厳しい戦いを強いられました。

【サンダー・ドラゴン】:不利

1番当たりたく無いテーマでした。

【TG】は手札誘発が採用されるテーマが全般的に苦手なのですが、その中でも【サンダー・ドラゴン】は一度回り始めると手がつけられません。
回った【サンダー・ドラゴン】は簡単に盤面を返してきてくるうえ、《オッドアイズ・アドバンス・ドラゴン》でそのままキルを取られることも多かったです。

そのため、基本的に「相手が手札誘発を持っていたら負け」と割り切って考えて動いていました
意外とこれがハマって勝率としてはそこまで低くはなかったと思いますが、明確に不利な相手だと言えます。

ふぃる

ただ、次のミニパックで《オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン》が実装されます。
これにより手札誘発テーマとの相性がひっくり返る可能性があるので、楽しみです。

【フライトTG】の構築

採用札の変遷

今回、採用札に変遷はありましたか?

くじかえる

ふぃる

採用札の変更は一切行っていません
毎回そうなのですが、KC中に札を変える勇気がなかなか出ないというのが正直なところです(笑)

ピン刺しTGモンスターの役割

《TG ギア・ゾンビ》

《TG ギア・ゾンビ》
闇 ★1 アンデット族 チューナー 600 / 0
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
①:自分フィールドの「TG」モンスター1体を対象として発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。
その後、対象のモンスターの攻撃力を1000ダウンする。
【フライトTG】は手数の多さで相手のバックを踏み越えていくデッキです。
そのため、手札から特殊召喚可能なレベル1チューナーである《TG ギア・ゾンビ》は非常に便利なカードでした。
 
またこのカード自体の採用率はそこまで高くないため、上位帯であってもケアされることが少なく、意表をつくという意味でも活躍しました。

ふぃる

しかし、これを先攻の初動で使うことは多くありません。
そのため若干事故要因になってしまうのも事実です。

《TG ブースター・ラプトル》

《TG ブースター・ラプトル》
風 ★1 鳥獣族 400 / 300
このカード名の①の方法による特殊召喚は1ターンに1度しかできない。
①:自分フィールドに「TG」モンスターが存在する場合、このカードは手札から特殊召喚できる。
②:フィールドのこのカードが破壊され墓地へ送られたターンのエンドフェイズに発動できる。
デッキから「TG ブースター・ラプトル」以外の「TG」モンスター1体を手札に加える。
こちらも手札から特殊召喚できる優秀なカードです。
《TG スクリュー・サーペント》+《TG ブースター・ラプトル》で《TG スター・ガーディアン》を作る動きはもちろん、《TG ストライカー》+《TG ブースター・ラプトル》で《霞鳥クラウソラス》を作り相手の妨害を踏んでいく動きをすることも多いので必須カードです。

ふぃる

破壊された際に「TG」モンスターをサーチする効果も有するため、とりあえず壁として使っても強いです。

《TG ドリル・フィッシュ》

《TG ドリル・フィッシュ》
水 ★1 魚族 100 / 800
このカード名の①③の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:自分フィールドのモンスターが「TG」モンスターのみの場合に発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。
②:このカードは直接攻撃できる。
③:自分の「TG」モンスターが相手に戦闘ダメージを与えた時、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊する。
《TG ブースター・ラプトル》よりも若干特殊召喚条件に縛りがありますが、比較的かんたんに手札からポンと出せるカードです。
 
単体で《インヴェルズ・ローチ》を破壊できる点、【幻奏】相手に手札の《幻奏の音女 スコア》をケアすることなく「幻奏」モンスターを除去できる点が優秀で、これも必須カードだと思います。

《TG ジェット・ファルコン》

《TG ジェット・ファルコン》
風 ★3 鳥獣族 1400 / 1200
このカードがシンクロ召喚の素材として墓地へ送られた場合、相手ライフに250ポイントダメージを与える。
《TG カタパルト・ドラゴン》か《TG ジェット・ファルコン》を引いている場合、スキルで手札交換を行い《TG カタパルト・ドラゴン》+《TG ジェット・ファルコン》を揃えることで相手ターン《ブラック・ローズ・ドラゴン》の構えが可能です。
 
【TG】は3枚で展開することが多いのですが、これらは2枚で動けるので不純物を引きすぎてしまった際の妥協展開として使うことができます。

ふぃる

ただ、この展開をしてしまうと《ブラック・ローズ・ドラゴン》で耐えることはできても返しでワンキルをとることは厳しい場合が多いです。
そのためあると便利ではあるものの、必須かと言われると怪しいカードです。

EXデッキの選定

【TG】のEXデッキは自由度が高い分、採用札に悩まれる方が多いと思います。
どのように選定していたか教えていただけないでしょうか?

くじかえる

ふぃる

まず、《水晶機巧-グリオンガンド》《B・F-降魔弓のハマ》《妖神-不知火》《ブラック・ローズ・ドラゴン》《TG スター・ガーディアン》の5枚は確定
これは【TG】を使っている方であれば皆さん一緒だと思います。

そうですね。これらはそれぞれ明確な役割がありますし、DLUに掲載した【フライトTG】でも必ず採用されていました。

くじかえる

ふぃる

残りの2枠は2枚目の《TG スター・ガーディアン》、《霞鳥クラウソラス》、《TG ワンダー・マジシャン》、《鬼動武者》あたりから選択という形になると思うのですが、個人的には《TG スター・ガーディアン》2枚目と《霞鳥クラウソラス》で確定かな、と考えています。

確定とした理由をお伺いしてもよろしいでしょうか?

くじかえる

ふぃる

それでしたらそれぞれの役割を紹介しますね。

《霞鳥クラウソラス》

《霞鳥クラウソラス》
風 ★3 鳥獣族 シンクロ 0 / 2300
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
1ターンに1度、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動できる。
ターン終了時まで選択したモンスターの攻撃力を0にし、その効果を無効にする。
《霞鳥クラウソラス》はこのカードがないとできないキルルートが存在しています
また、《インヴェルズ・ローチ》の回答にもなるので確定だと考えます。

2枚目の《TG スター・ガーディアン》

《TG スター・ガーディアン》
光 ★5 戦士族 シンクロ 100 / 2200
チューナー+チューナー以外の「TG」モンスター1体以上
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードが特殊召喚に成功した場合、自分の墓地の「TG」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを手札に加える。
②:自分メインフェイズに発動できる。手札から「TG」モンスター1体を特殊召喚する。
③:相手メインフェイズに発動できる。このカードを含む自分フィールドのモンスターをS素材としてS召喚する。
先攻展開時に《TG スター・ガーディアン》を1枚消費してしまうので、2枚目がないとどうしても動きの幅が狭まってしまいます。
動きの幅を広げるためにも確定だと思っています。

ふぃる

EX枠がもっと多ければ《TG ワンダー・マジシャン》も採用したかったです。
今回は泣く泣く見送りました。

MVPカード:《狡猾な落とし穴》

《狡猾な落とし穴》
通常罠
①:自分の墓地に罠カードが存在しない場合、フィールドのモンスター2体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊する。

やはり《狡猾な落とし穴》は強いですよね (笑)

くじかえる

ふぃる

《TG ギア・ゾンビ》…と言いたいところでしたが、やはり《狡猾な落とし穴》です (笑)

実際のところ、《サイクロン》を腐らせられる、とさきほどおっしゃっていたので意外でした。

くじかえる

ふぃる

確かに《サイクロン》を腐らせやすい【フライトTG】でこのカードを採用するのは矛盾しているように見えるかもしれません。
ですが、【フライトTG】に《サイクロン》等のバック干渉札が有効でないことは相手も理解していますから、《サイクロン》等をブラフとして伏せてくることが多いんです。

なるほど!

くじかえる

ふぃる

もうお分かりだと思いますが、《ブラック・ローズ・ドラゴン》や《妖神-不知火》等でブラフの《サイクロン》等を破壊してから《狡猾な落とし穴》を伏せると、さらに有効的に使うことができるんです。

先行で《狡猾な落とし穴》を引くとウキウキでセットしたくなってしまいがちですが、相手のリソースを消費させてからセットすることで《狡猾な落とし穴》の強さをさらに高めているんですね。
勉強になりました。ありがとうございます!

くじかえる

ランクマで調整する際の工夫

KCに合わせたデッキの調整方法はありましたか?

くじかえる

ふぃる

チームでの調整や大会参加はほとんどせず、行き帰りの電車でランクマを回しながら調整していました。

ランクマはプレイングやテーマに対する理解度に相手ごとのバラツキが大きい印象ですが、ランクマで調整する際の工夫等があれば教えてください。

くじかえる

ふぃる

確かに最近はランクマの質が落ちている、とおっしゃる方もいらっしゃいます。
その中であっても1試合1試合丁寧に、できる限り連勝できるように、ということを意識してプレイしていました

【堕天使】のプロとして

こちらはつんつんさんから頂戴した質問です。

くじかえる

ふぃるくんは過去に【堕天使】で金アイコンも取ってるし、前のチームで一番【堕天使】が上手かったのに今回はなんで使わなかったの?

TsunTsun

ふぃる

【堕天使】が環境にマッチしていて、勝率の出せるテーマであることは事前に認識していました。使用できるように練習もしていたほどです。
ですが、不利なテーマである【幻奏】が流行ると思っていたこと、また【堕天使】の対策が明確かつ容易であることから厳しいと判断しました。

【堕天使】に切り替えることは考えなかったのでしょうか?

くじかえる

ふぃる

僕はKC前に使うと決めたテーマを最後まで使い続けるタイプです。
「途中でテーマを変える」といった器用なことができなくて…。
【堕天使】は対策札を採用するだけで容易にギミックに致命傷を与えることができるテーマであることからも、KCを戦うことはできないだろうなと思って使うのを止めました。

「【堕天使】が強い環境」と対策の容易さ

「【堕天使】が強い環境」を考える場合、「環境テーマに対しての相性」以上に「《神属の堕天使》を安心して伏せることができる」環境であることが重要だと思っています。

現環境のバック干渉札は圧倒的に《サイクロン》が多く、《コズミック・サイクロン》の採用率が相対的に低くなっているため《コズミック・サイクロン》により【堕天使】のギミックを崩されることが少ない状況でした。

逆に言えば、KC中に【堕天使】が強いと認識され対策される状況下においては、単純にバック干渉札を《サイクロン》から《コズミック・サイクロン》に変えるだけで対策が成立します。
これは容易に対策が可能である、と言えます。

つんつんさんの凄さ

ですが、KCを終えてみてさすがつんつんさんだな…と思いました。

配信でもおっしゃられていたのですが、つんつんさんはもちろん先述のことを理解したうえで【堕天使】を使っていて、「序盤は【堕天使】が強いと認識されないためにランキングで顔を出さないようデュエル数を控え、後半一気にポイントを伸ばす」という戦略をとられていました

ふぃる

デッキの構築やプレイング以外にKCというイベント自体の攻略の仕方が素晴らしく、僕も勉強していかないとなと感じました。

ふぃるさんに向けて

最後に、インタビューに寄せてDDの方々からふぃるさんへメッセージを頂戴したのでご紹介します。

くじかえる

うんの

ふぃるさんがいまリンクスを続けられているのは僕のおかげと言っても過言ではないと思います。
だあひょんに続いて3個目の金アイコンを早く取ってください。

haru

ドクターマリオばっかりやってるから金アイコン逃すんや!ざまぁみろ!

TsunTsun

【堕天使】の回し方はふぃるくんに教えてもらったので、感謝しています!
次回のKCは金アイコンを期待しています!

さいごに

ふぃる

【フライトTG】はスキル修正が来ない限り環境で戦えるテーマだと思っています。
使ったことない人もぜひ使ってみて、この楽しさや奥深さを味わってほしいです!